今年の春頃から海外との行き来ができない状態が続きましたが、徐々に人の往来が戻ってきつつありますね。もちろん元の状態に戻るのには数年かそれ以上かかるとの見方もありますが、ひとまず喜ばしいことです。
弊社では、3年前に顧問先企業に同行してベトナムに行って以来、ベトナムの人材活用やマーケティングに関するご相談も頂くようになりました。特に人材の採用に関しては「モノ」ではない分、日本企業側が慎重になるケースが多く、実際の採用に至るまではかなり長い時間を掛けて検討されています。弊社では、その人材を採用するにあたっての社内体制の構築や、外国人材だからこそのメリットを活かしたベトナム進出・そのための販路開拓方法などを、現地パートナーも含め各分野の専門家と連携したサービスを提供しており、その一番日本企業寄りの立場に立つのが私の役割です。これまで面接に同席した数は約30名、そのうち採用に至ったのは10名ほどでした。
彼等の面接を間近で見るうちに、日本人の面接と違い、まず初めに「言葉の壁」が高く高く立ちはだかっている現実に直面することに気づきます。どんなに優秀な人であっても、言葉が通じないことにより、仕事の内容をしっかりと理解できない、仮に入社してもコミュニケーションがうまく取れず他の社員やお客様との関係が構築できない…といった不安材料に直結し、不採用となるからです。逆に、私達にベトナム語を覚えるように言われても全く自信がない(ベトナム語は難しいですよ!ホント。彼等にとっても日本語は相当に難しいはず)ですが、採用する側に立つとそこを厳しく見てしまうのは仕方のないことでしょう。
ただ、実際に日本企業に就職が決まった後にも、やはり様々な壁が彼等を待ち受けています。それは遠い故郷に大切な家族を残してくる寂しさや、初めて来る異国での生活の不安、早く仕事を覚えたいのになかなか日本人に話しかけられない、仲間に入れない…といった精神的な悩みや、仕送り・物価の高さなどお金の悩みなどです。初めは教育担当ということで日本人の先輩がそばについて教えてくれるでしょうが、それはいつまでも期待できるものではなく、「早く仕事を覚えて」「いつまでも特別扱いはしないよ」という無言の圧力がかかるケースも少なくありません。
そんな彼等のために、弊社では昨年、「ベトナム人が日本企業で活躍するためにこれだけは伝えておきたい日本式ビジネスマナー10のポイント」というテキストをAmazonで出版いたしました。
これは、私自身が長く日本で働いてきた中で感じた“窮屈さ”に対する不満も含め、日本企業が持つ独特の慣習やルールについて分かりやすく説明したものです。その上で、ベトナム人の彼等が「これだけ押さえておけばきっと日本企業で活躍できる人になれるよ!」という基本的なポイントを10個あげています。笑顔やあいさつの大切さから始まって、敬語の使い方、就業態度の向上で会社の戦力になるためには?…といった内容で構成しています。全く宣伝していませんが、口コミだけで毎月売れ続けていますよ。ベトナム人を採用する予定のある企業様、また、既に日本で働いているけれど後から入社するベトナム人に日本での働き方を教えたいと考えるベトナム人の皆様、ぜひAmazonでご購入ください。
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このテキストを基にした動画も作成、先日完成いたしました。静岡大学のベンチャー企業とベトナム人留学生の皆さんのご協力で、素晴らしい動画ができあがりました!
本日はコラムを読んでくださる皆様のために、特別に一部ご覧いただけるようにしてみました。(第二章の始まり1分ほど…)
お試し版はこちら▼▼▼
※全10章を無料配信する予定ですので、乞うご期待!
さて、それはさておき。
外国人に限らず新しく人を採用する時、企業側にまず聞かれるのが「何をする会社ですか?」です(「ウチは建設業です」「弊社は食品を加工する会社です」といった具合)。そして、お給料は?お休みは?教育制度は?といった条件面の提示に続き、募集する職種が何で、そのために「〇〇ができる人・又は経験のある人」「■■の資格を持っている人」という要望が提示されます。それに対して「はい、できます」「いいえ、できません」という会話が続きますが、これは正直、昭和の時代の面接スタイルですよね。令和の今なら、きっと違うはずです。
「私の会社は●●ができる会社です!」「私(社長)はこんなことを考えています!」「弊社は□□な人材を求めています!」…「ぜひうちで働きませんか?」。こういう形で始まるのが理想だと思いますがいかがでしょうか?
会社が向かう方向、社長が考えていること、社員に期待されていることも分からずに、ただ給料や休みや諸条件だけで採用した人材が入社して、本当にうまくいくでしょうか?これは外国人も日本人も同じです。特に日本人の若者は日々の生活に困っている人はほとんど無く、金銭などの条件面よりも人格を認めて欲しい、人間として成長したい、社会から必要とされる仕事に関わりたい、そんな風に思っている人が多くいるはずです。そこの価値観が合う人間を探して採用する…決して売り手市場とかそういう問題ではなく、社員が活躍でき、会社が成長できるというWin-Winの関係構築の第一歩です。この発想は外国人を採用する時には特に有効で、「田舎だから」とか「お休みが少ないから」を心配する前に、「自分がやりたい事があるか?」「自分が活躍できる場所なのか?」を大切に考える人が多いように感じています。
日本以外の国をあまり知らない経営者は、今でも日本は素晴らしいと思っている方が多いでしょうし、日本は進んでいる国だと信じて疑わないかもしれません。しかし、超高齢化&少子化が進んでいる日本にあって、しかも、昔ながらのやり方考え方をしている企業がまだまだ多いという現状の中で、間違いなく日本企業の競争力は落ちています。もっと自社の価値を磨いて向上し、魅力ある人材が集まってくるような会社づくりをするべきだと私は思います。
日本国内ではどれだけ有名な会社でも海外に行くと全く通用しない、という話をよく耳にしますが、逆手に取れば、どんな小さな会社でも大手と対等に戦えるチャンスがあるということです。自社のことを本当に理解してくれて、大好きになってくれて、そしてベトナム進出の時には母国でその要となってくれるような…そんな人材を発掘し、教育していくことは、貴方の会社の大きな発展のカギを握るかもしれません。
人やモノの動きが鈍くなっている今だからこそ、具体的な次の一手を考えてみてはいかがでしょうか。ピンチはチャンス…混乱の時には、小回りがきく小さな会社ほどチャンスを手に入れる確率が高くなります。ぜひ貴社の未来に思いを馳せてみてください。応援しています!
※会社が向かう方向や社長の考えを言葉にしてみたいとお考えの方は、ぜひ弊社事業発展ストーリーBOOKの資料(無料)をご請求ください。歴史を知ると未来が見えてきますよ!