仕事柄、様々な会社の“営業”に関するご相談を頂きますが、
「毎年営業目標は掲げているものの、なかなか達成できないんだ」
と言われる社長は少なくありません。目標を掲げ、人員を用意し、決して少なくない広告経費を掛け、ホームページやパンフレットなど営業ツールもバッチリ準備して毎日営業活動に励んでいるにも関わらず、なかなか成果が上がらない…そのように悩んでいらっしゃる社長のために、今日は、ついやってしまいがちな間違いと、その対策について書いてみたいと思います。実際の営業計画の立て方もお伝えいたしますので、ぜひ最後までお読みください。
まず、なかなか成果が上がらない営業現場で行なわれていることの代表が次の2つです。
- ただやみくもに営業活動を行っている(具体的な計画が立てられていない)
- 営業計画を立てる時、いきなり目標設定からやってしまっている
です。このどちらかに当てはまっている場合、営業目標を達成することは難しいでしょう。営業活動において成果を出すためには、具体的かつ適切な営業計画を立てることがカギとなります。
ただ、営業計画を立てましょうと言うと、このように言われる営業マネージャーや営業マンの方も少なくありません。
「営業計画は大事だと思うが、どのように立てたらいいのか分からない」
「営業計画を立ててもどうせその通りにいかない…今までできたためしがない…」
と。
「これに従って動けば間違いなく営業目標を達成できる!という達成根拠のある営業計画を立てたい」…と考える社長はぜひご参考ください。
■営業目標を達成するために立てる営業計画に必要なこととは?
営業目標を達成するための計画…さて、皆様は何から決めていますか?
営業計画を作成するのに必要な項目として、次のようなものが挙げられます。
1.目的の明確化
2.ターゲット
3.メンバー(役割)
4.具体的な目標数値とプロセス
5.必要な営業ツールの確認
6.実践のためのアクションプラン
7.予算の決定
それぞれの内容も大切ですが、この順番も大事になってきます。
昔、私もよく失敗しましたが、いきなり4の目標数値から入っていったり、6のアクションプランが具体的ではなかったり、あと、肝心な予算があいまいだったり…といった感じでうまくいきませんでした。
大事なことは、1~3の前提条件を明確にした上で具体的な目標数値を決めていかないと、何のためにこの計画を進めていくのか?途中で迷ったり進む方向がズレてしまったりするのです。
■具体的な目標数値が「絵に描いた餅」になってしまう理由
以前、実際に私がやってしまった例ですが、いきなり売上目標を設定し、それを達成するためのプロセスごとの転換率(何件受注できれば売上目標を達成するか?の逆算…普段の営業の感覚で…設定し、そのために必要な商談数は?どれくらいアプローチすれば良い?という計算でおおよそのアプローチ数を算出※以下の図を参照)を考えて、その数をこなすための行動計画を立ててしまうことです。一見、しっかりと考えているようですが、後になってみると、ただの「絵に描いた餅」であることがわかりました。
また、自分が実際に実践できそうなターゲットを想定して、しかも、できるだけ予算を掛けない方向で社内にある企業リストを使おうとしたり、自分一人で全部やろうとしたりしてうまく行かなかったことがあります。これも、一見真っ当な営業方法に聞こえますが、実は社長が期待する成果を生み出すことができないのです。
このようなやり方を続けることの問題点はどこにあるでしょうか?
そもそも、今回の営業目標を達成する目的は何で?誰をターゲットにすれば良いのか?が営業マン任せになっているところです。私の場合、当時、既存顧客の大半が偏った業種だったため、会社としては新たな業種の開拓をすすめていくことが急務だったのですが、その目的が共有されず、各々の売上目標だけが下りていく形となっていたため、営業マンは自分のノルマ達成のために「自分が行きやすい業種(ターゲット)に行く」ということになるのです。しかも、予算があいまいだったため、なるべく新たな経費が発生しない方向で…という暗黙の了解の中で進んで行ったことも問題です。
達成できる営業計画を立てるためには、まず、「目的」と「ターゲット」を明確にしてスタートする必要があるのです。
■可視化していくと見えてくるもの
その上で、誰がどのような役割で関わるのか?というチーム体制もはっきりさせておく必要があります。
以前、ある会社で新規開拓の営業計画を立てる時にベースにしたシートをご紹介します。
これは、目的とターゲット、メンバーまでが明確になった上で目標数値を設定し、その後のプロセスを可視化するために用いたものです。
このように目に見える形にして書き込んでいくことで、誰が何の役割を担当し、その際にどのような営業ツールが必要になるのか?その後のフォローや最も重要な工程がどこなのか?が見えてきます。この会社の場合は、初回面談の次に、より具体的な商談(次回面談)の数を増やすことと、その質を上げることが契約率につながるという仮説を立て、KPI=150社と設定しました。
また、普段は見込み客の創出から初回面談、次回面談、契約までを一人の営業マンが全て行う単独スタイルの営業手法をとっていたのですが、今回は、声掛けをしてふるいにかける人と、その後、商品の説明をする人、より具体的な面談でクロージングをする人と役割を分け、各々が十分な準備をして次にバトンを渡す連携スタイルにしたのです。これは、新たな分野の開拓だったため、一人が全てできるようになるには時間が掛かりすぎるとの判断からです。
そして、最終的な売上予測と比較して、適切な予算を掛けていくことも重要なポイントとなるのです。リストやツールなど、「今あるものを使って」…という発想になりがちですが、想定する売上に見合った予算をしっかりと取ることも重要です。この判断は営業マンにはできませんので、計画の段階で決めておく必要があります。
いかがでしょうか。
売上目標を掲げることは重要ですが、その後の営業計画をきっちり作成することこそが確実な目標達成を実現してくれます。
ぜひあなたの会社の営業計画を見直してみませんか?