「いくら指示を出しても、社員が動いてくれない」
このような悩みを抱えている経営者さんは多いでしょう。
言葉を費やしてアレコレ伝えても、社員さんはボーっとしているだけ。
これでは、業績が上がる筈もありません。
何故、このようなことが起きてしまうのでしょうか?
もしかすると、逆らいたくなる言葉を使って指示を出しているのかも知れませんよ。
その「逆らいたくなる言葉」にはどのようなものがあるのでしょう?
それを今回は記していきます。
■逆らいたくなる言葉が存在する
社員さんへの情報伝達は、経営者さんの仕事の一つです。
会社の運営方針や目標を伝え、社員一丸となって働く為です。
その情報伝達で使う言葉が問題です。
言葉一つで人間は動きやすくもなり、逆らいたくもなります。
例えば、昔話『浦島太郎』。
浦島太郎は乙姫に玉手箱を貰った際、「決して開けないように」と指示されます。
それでも、浦島太郎は玉手箱を開けてしまいました。
乙姫の指示に逆らっていますね。
では、彼は何故、このようなことをしたのでしょうか?
実はこの乙姫の言葉、逆らいたくなるような構成になっているのです。
「決して開けてはいけない」
本当に短い文章ですが、どこが悪いのか分かりますか?
少し考えてから続きを読んでください。
■浦島太郎が乙姫に逆らった3つの理由
浦島太郎が乙姫の指示に逆らった理由は、3つ考えられます。
1つ目は、行動制限に対する反発です。
人間は何かを禁じられると、逆らった場合に何が起きるのかという
好奇心が生じます。
こちら、身に覚えのある人が多いのではないでしょうか?
今回の場合、強い打消しの副詞「決して」がついていますので、より一層、
好奇心を掻き立てられます。
2つめは、乙姫に対する甘えです。
浦島太郎は、随分乙姫に良くしてもらい竜宮城で過ごしました。
これにより、「彼女なら自分に対し悪いことはしない」という
甘えが生じている筈です。
禁止事項を破ったとしても、許してくれると高を括る。
3つ目が重要です。
玉手箱を開けてはいけない理由が分からないからです。
何の目的もなく後生大事に玉手箱を持っていなければならないなんて、
フラストレーションが溜まる一方です。
そのフラストレーション解消の為にも、浦島太郎は玉手箱を開けたのです。
■乙姫は浦島太郎に「使命」を与えるべきだった
乙姫の目的は、玉手箱を開けさせないことです。
最終的にこの目的に達すれば良いのですから、言い方を変えるべきでした。
例えば、以下のような言い方はどうでしょうか。
「玉手箱を他人に触れさせないよう守ってください」
この文言のポイントは2つです。
・他人という仮想敵を生み出し、分かりやすい共通認識の象徴とする
・その敵から玉手箱を守るという使命を与える
この「使命」が重要です。
これがあるだけで、人間はとても動きやすくなるのです。
指示にも逆らおうとしなくなります。
「使命」は行動理由とも言い換えられます。
自分の行動には意味があり、目的もあると分かれば、やるべきことが見えてきます。
逆に、意味を見いだせない行動はしたくないものなのです。
「決して開けてはいけない」だと、すべきことが分かりません。
例え、指示する側の真の目的と指示にズレがあったとしても、
最終目標が達成出来れば成功です。
不満を抱き続けられ、目標を達成出来ないよりも、ずっと素晴らしいことです。
■社員さんに使命を与えていますか?
やる気が起きない社員さんは、自身の中に「使命」がない可能性があります。
この仕事をして何の意味があるのか分からないのです。
だから、やる気が起きません。
このような社員さんに、口を酸っぱくして小言を言ったとしても意味はありません。
もし、手を抜くことを禁じたとしても、すぐに破るでしょう。
それこそ、浦島太郎が玉手箱を開けたように。
やる気を引き出すには、使命を与えてあげるしか方法はありません。
思い出してください。
あなたの会社の設立当初、社員さんは全員やる気に満ちていた筈です。
これは、会社の持つ使命を全員で共有出来ていたからではないでしょうか?
社会的に意味のない会社は存在しません。
喜んでくれるお客様がいるから、存続しています。
「使命」とは自分以外の誰かの役に立てるという実感ともいえます。
その実感を得られる職場作りも、経営者さんの仕事の一つではないでしょうか。
■自分の良い所は見えてきにくい
あなたの会社の良い所はどこでしょうか?
社員さんに与えられる「使命」が何か分かりますか?
改めて問われると、すぐ出てこないものですよね。
それに、自分の良い所は自分では見えにくいものです。
だからこそ、私の仕事があるのです。
困っている経営者さんの力になり、社員さんのやる気を引き出す。
毎回、とてもお喜びいただいています。
この仕事を通し、全ての働く人が使命に燃える社会を作りたい。
これが私の目標であり「使命」です。
最後まで目を通していただき有難うございます。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。