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第299話 現状の営業体制を見直す時の「基本のキ」

 

新しく営業マンが入社したので、この機会に営業体制を見直したい…というご相談は少なくありません。これまで、先輩営業マン達は各々のやり方や得意分野で数字を出していたため、これと言った共通の営業方法は確立されておらず、指導しようにも何から伝えれば良いのかわからない、そういう会社は意外に多いものです。

 

経営者が、売上を上げたい、事業をもっと成長させたいと思う時に、魅力的な商品やサービスを生み出すことはとても大切ですが、それをいかに多くの顧客に届けて販売していくか?という営業活動につなげていかなければ夢を実現することはできません。中には、営業活動は「売れる営業マン」「デキる営業マン」に任せておけば大丈夫…と考える社長もいらっしゃいますが、自社の営業戦略を立てることは社長の大事な仕事です。売れる営業マン、デキる営業マンがいるのであれば尚更、体系的に販売につなげていきたいものです。今回のコラムでは、営業体制を見直す時の「基本のキ」と題して営業体制づくりの基本について書いてみたいと思います。

 

 

■顧客の開拓はターゲティングが命

 

まず、営業活動を始める時に必要なのはターゲットリスト。どこにある、どんな会社の、誰に向けて営業をしていくのか?というリストです。BtoBの場合は、既存顧客の中の、特に優良顧客をベースに、業種や売上規模、従業員数、エリアなどで作成していくケースがほとんどです。仮に新商品の営業だとしても、既存の取引がある業態であれば相手の様子がよくわかり、抱えている悩みや解決すべき課題も知っていることが多いからです。

 

しかし、ターゲットを明確にして営業活動を行っているにも関わらず業績が伸びないという悩みを持つ会社もあります。その場合、単純に業種やエリアで絞っているだけで、顧客のニーズをきちんと把握できていないことが考えられます。「よく知っている」と思っている業界であっても、全てを理解しているわけではなく、むしろ部分的にしか知らないことの方が多いのではないでしょうか。良い商品を作っているという自信がある会社ほど、この「顧客ニーズを知る」という工程を軽く考えてしまう傾向があるようです。世の中のニーズは日々変化してる…頭では分かっていてもそれを現実的に知ろうとしない、マーケットリサーチや市場調査に時間もお金も掛けないまま「とりあえず」営業活動を始めてしまう…そういった経験はありませんか?

 

「そんなところに割くお金が無い…」という場合でも、一番手っ取り早く、しかもお金をかけずに顧客ニーズを知る方法として、「自社の顧客に自らインタビューする」方法があります。

 

世間には似たような商品・サービスを提供する会社が山ほどある中で、既存の顧客はなぜあなたの会社を選んだのか?何が決め手となって購入(契約)を決めたのか?ということを改めて教えてもらうのです。これは、単なる商品から得られるメリットだけで考えてしまう売り手側からは出てこない「生の声」であり、同じような悩みを抱える顧客を開拓する時に、ものすごい力を発揮します。セールストークを自分たちで考えるのもいいですが、顧客から出てきたキーワードは、よりインパクトのあるキラートークになるのです。

 

 

■自社の商品・サービスを20秒で説明する

 

営業を行う時に、自社の商品・サービスについて説明したパンフレットやチラシを作成していると思いますが、新規開拓の場合、初めて会うあなた(あなたの会社の営業マン)に快く時間をくれて耳を傾けてくれる人はほとんどいません。ましてや、電話でアポイントを取る場合は、「セールスお断り」と一瞬で切られてしまうこともしばしばです。

 

そんな忙しい相手に対して、わずか20秒、話を聞いた途端に、「ちょっと話を聞いてみたい」と思わせるような説明ができれば、次につながる確率は大きく上がります。新規開拓がつまずく原因のほとんどはココで、どれだけ立派なパンフレットをつくっても、どれだけセールストークを練習しても、例えその商品が世界レベルに素晴らしいものであったとしても、「聞いてもらえない」という最初の壁を超えることができなければ、それは存在しないのと同じと言えるでしょう。

 

私も現役の営業マンだった頃は毎日テレアポと飛び込みの連続でしたが、この入口を突破できずに苦労しました。ただ、だんだんと慣れてきて、この20秒トークができるようになると、電話を切られたり玄関で追い返されたりする確率がグンと下がります。ホント、大事ですよ。

 

御社のチラシにも、ポイントは3つ…とか、5大特徴…などと箇条書きにしてあると思いますが、それをわずか20秒で説明できるかどうかで、結果は大きく変わってくるのです。

 

 

■見込客が抱える悩みや不安を解決できる「証拠」とは何か?

 

見込先にアプローチをして、商談の場がもらえ、あなたの会社の実績や商品の特徴を説明する機会が与えられたとしても、相手の心の中にはまだ「疑う気持ち」が残っています。長い間悩んできたことや、他の商品を使っても解決されなかった経験、「どこも同じようなこと言ってくるな…」という感情などが、あなたの主張をブロックしているのです。

 

それはある意味仕方のないことで、仮に長年お付き合いのある既存客に対して新商品を提案したとしても、即信用!即購入!とはならないはずです。やはり同じように「疑う気持ち」や「戸惑う気持ち」がカベになります。その疑いを払拭できるだけの証拠…ああ、この会社(商品)なら、きっと解決してくれるだろう!と思ってもらえる証拠を揃えておくことが重要です。それは、実績やエビデンスであったり、他社の導入事例、第三者の評価などがもちろん有効ですが、提案する側の覚悟や志といった部分もその一つになり得ます。こういう想いの部分は、直接商品の品質を証明するものではありませんが、それをつくり上げる過程の工夫や、導入前後のヒアリングやフォローに差を生み、結果として相手に大きな安心感を与える効果があるのです。

 

営業活動を行う際、これらは入口の基本となります。

朝、出勤したら即営業活動、夕方帰ったら事務処理と明日の準備、気がついたらもう月末…もしもあなたの会社の営業部隊がそんな毎日を送っているとしたら、しかも思うように業績が伸びていないとしたら、一度立ち止まって「基本のキ」に立ちかえってみてはいかがでしょうか?得られるモノが大きく変わってくるかもしれません。

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