「“100年後も生き残ると思う日本企業ランキング”というニュースをネットで見かけましてね、第1位はトヨタ自動車だそうですよ。これまでの実績や企業イメージから見て、まあ納得ですよね。」
先日、経営者の会でご一緒した、ある後継経営者(候補)の方との会話です。「100年後どころか、30年後のわが社はどうなっていることでしょう…」話しはその後、社内の問題点へと発展しました。たくさんモノが売れていた時代は良かった、営業が強かった時代は良かった、と現在の社長はおっしゃるそうですが、なかなか社内の組織や仕組みなど全体的な改革は大変とあって、未だ手付かずのまま…これでは10年先も危ぶまれます、とおっしゃっていました。
冒頭のニュース。私も何かで耳にしたことがありますが、大手企業が調査対象になっていることもあり、これまでの歴史や伝統、売上や資本力など過去の積み上げ等、納得の材料があることは必須なのでしょうが、最近では、顧客のためのサービスや品質の向上にどれだけ力を入れているか?工夫をしているか?その根底にある理念やビジョンは何か?…と言ったことが重視される傾向にあるとも聞きます。要は、“どれだけ自社の価値向上に努力を惜しまない会社なのか?”を顧客は問うているということです。
これは、商品・サービスの量やスピードだけでなく、質・多様な価値観への対応・ユニークさや楽しさ・癒しなど、顧客が求めるのもが幅広くなり共感できるモノや企業でないと選ばれない時代になったということなのでしょうか。先日アジアを訪問した時、数十年前には日本でも普通だった感覚(若さや躍動感・カタチあるものへの欲求など)を思い出した気がしましたが、今の日本では量より質・欲求より共有・共感、という言葉がしっくり来るように感じるのは私だけでは無いと思います。それだけ、身の回りには十分すぎるほどのモノと情報が溢れ、本当に必要なものはわずか数センチのタブレットの画面からいつでも購入できる環境に多くの人がいるということでしょう。それ以上にモノが売れていくためには、不要不急なものに価値を感じてもらい、そこから得られるカンファタブルベネフィット(心地よさや安心感)や、アサーションベネフィット(自己表現的ベネフィット)を提供できなければならないからです。
最近お受けするご相談で、「どうしたらもっと商品が売れるようになりますか?」という声をよくお聞きしますが、実はその裏に…
「もっと魅力的な会社にしたい」
「商品に込めた想いを何とかうまく伝えたい」
「社員達に、この商品を提供できる幸福感を感じて欲しい、自信を持って売って欲しい」
…という想いが隠れていたりします。
不要不急なものであればあるほど、そこが伝わらなければ全く売れないからです。安ければ少しは売れる…は、日常必需品の感覚。不要不急なものには、「安くすれば少しは売れるかも?」という常識は通用しません。1か10ではなく、0か100の世界です。
経営者の皆さま。御社の商品は日常必需品ですか?それとも不要不急品ですか?価格を下げれば売れる商品・サービスと、価格を下げても全く売れない商品・サービスの区別はできていますか?不要不急の商品であるほど、確かな技術と商品力が要求され、その価値を伝える力が問われるんですよ。