「管理を厳しくすれば生産性は上がるんですよね」
稀にこのような勘違いをされている経営者と出会うことがあります。ガチガチに社員や従業員を管理することが、生産性を上げることだと信じて疑っていません。
では、本当にガチガチの管理が生産性を上げることになるのでしょうか。私の答えは「NO」です。
それは歴史が証明してくれます。そう、ソビエト連邦です。今回はソビエト連邦崩壊から、作業効率の上げ方と生産性アップの方法について考えていきましょう。
■ソビエト連邦崩壊の原因
ソビエト連邦という国があったのを覚えておられるでしょうか。1991年まで存在した国で、社会主義国でした。今のロシアですね。
ソビエト連邦が崩壊した原因は、財政難です。このため国を分割し、国が負担する金額を軽くしようとしました。とてもざっくりソビエト連邦崩壊を説明すると、こうなります。
ソビエト連邦は農業も工業も国営です。ガチガチに管理した経営で、生産性を上げようとしていました。国営農場「ソフホーズ」が有名ですね。機械化された大規模農業を目指していました。しかし、結果はご覧の通りです。
こうなった原因は、人間はそれぞれ違うということを考慮しなかったからです。全員同じであることを強いた。人間のロボット化ですね。
人には得手不得手があります。それを考慮せず管理を行うのですから、できない人は置いてけぼり。査定は最低なものになるでしょう。これだと勤労意欲もわかず、適当に手を抜いて仕事をするだけになるはずです。
このようなことの積み重ね等があり、ソビエト連邦は財政難に。そして、遂に崩壊ということになったのです。これを他山の石としてはいけません。同じようなことをしようとしている経営者は少なくないのですから。
■イノベーションが起きない管理・監視社会、
ガチガチの管理社会だったソビエト連邦、これを実現させるために国民を監視し合わせました。国に対して不都合な人間は密告し、強制的に「教育」。社会主義国や共産主義国では、残念ながらよくあることです。
周囲と少し違うだけでも通報対象ですから、人々は考えることを止めます。この違いは、人より賢かったり美しかったりという良い意味での違いも含まれます。これが行き過ぎたものが、カンボジアのポル・ポトによる大虐殺です。
人と違うことはできませんから作業効率を上げる方法を思いついたとしても、提案などできやしません。おとなしく目立たないように働きます。これだと生産性アップなど夢のまた夢です。能力よりもどれだけ管理者の思う通りに動けるかが、査定アップの基準。
ソビエト連邦を例にあげていますが、日本の中小企業でもよく見る風景ではないでしょうか。規則に従わせることを最重要目的とし、社員に考えることをさせない。
これの行きつく先は崩壊だというのは、ソビエト連邦をご覧になってよくお分かりになった筈です。
■会社を崩壊させないためにしたいこと
ソビエト連邦崩壊から学ぶべきは、理想を追って管理を徹底することは破滅を招くということです。もちろん、理想を追うのは素晴らしいことです。しかし、そこに行きつく道はどこを通っても構わないわけではありません。
ソビエト連邦では最終的に管理することが目的となった印象を受けます。これでは生産性を上げることなどできません。だって、生産性を上げることを目的に行動を取っていないのですから。
あなたの会社の目的は収益を上げることでしょう。だったら、そのために出来ることをしましょう。ソビエト連邦の逆をすれば良いのです。
徹底した管理でなく、ある程度社員の自由にさせる。自由にさせるためには、会社の目的と一つ一つの仕事の目的を提示する必要があります。この目的を達成するためだったら、今の手順を見直しても構わないとする。
この方法を取り入れても、すぐに結果は出ません。ソビエト連邦もロシアに国名を変え、自由主義も受け入れるようになりましたが、経済規模は大きいとは言い難いのです。これは政治云々以前に、国民が自由になれていない影響も大きいようです。
それでも、以前よりずっと生き生きとしたロシア。新しい技術もどんどんと生まれてきています。これからも目が離せません。
■目的の見つけ方が分からないなら
今回はソビエト連邦崩壊から、作業効率の上げ方と生産性アップの方法についてお話しました。目的なき仕事は作業効率が落ちる一方で、当然生産性も上がりません。
分かっていても、目的が見つけられない経営者も多くおられます。そんな時は私にお声がけください。私が第三者の目であなたの会社を見させていただきます。きっと、社内にいたら見えなかったものが見えてくるはずです。
現代は激動の時代です。それを乗り越えるためには、時に社外へ助けを求めることも必要ではないでしょうか。
一人で悩まないでください。孤立こそ崩壊への第一歩となるのです。
最後まで読んでくださり有難うございました。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。
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