世の中には、「チャンスの神様には前髪しかない」という言葉があります。皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、何かチャンスだと思える機会に恵まれた時、すぐに決断してつかまないとチャンスの神様は直ぐに通り過ぎてしまって、あとから「しまった!」と後悔しても、もう遅いよね…というお話です。
「もうちょっと後でもいいや」とか、
「いや、待て待て。もっと大きなチャンスがあるかもしれない」とか、
「一見、すごいチャンスに見えるけど、実は失敗するかもしれないな」、
などと悩んでいる間に“神様”は無情にも通り過ぎてしまうようです。
誰もが悩むのは、それが確実にチャンスだとわからないから…チャンスの神様なのかそれとも神様の顔をした悪魔なのか…ですよね。このチャンスの神様の前髪の話に踊らされて、多くの人が誤った判断をしてしまう事が多いのです。
今回のコラムは、この前髪だけ生やした存在がチャンスかそうでないか、というお話ではなく、仮にそれが限りなく100パーセントに近い神様だったとしても、ある理由でうまくつかめない社長がいる…というお話です。いつもちゃんとつかんでいるよ、という社長には必要ないと思いますが、ぜひお付き合いください。
今回のようなコロナ禍にあっても業績を大きく伸ばす企業がたくさんあったように、いつの時代にもビジネスチャンスは転がっています。それをいち早くつかまえてモノにするためには、やはり日頃から情報を収集し、アンテナを高く持っておく必要があります。しかし、仮に感度の高いアンテナにヒットするものを見つけた時や、例えばそのチャンスを活かして新しい事業に挑戦したり新商品を開発したりしたいと思う時に、うまくタイミングをつかめなかったり波に乗れなかったりする会社には共通点があります。
それは、「いつでも走り出せる準備」ができていない会社です。
大手のように、人材が豊富にいて情報や資金がそれなりにある会社であっても、何か新たなことに取り組むときにはそれなりのパワーが必要で当然リスクもあります。成功する確率はある程度限られていますし、それが中小企業になれば尚更です。
新たなチャンスを見つけてくるのは社長の仕事であったとしても、それを実現させるためには、お金や人材以外にも、決断力・判断力・行動力などの力が必要なのはもちろん、それらをスピード感を持って推し進めていく仕組みや組織が必要になります。
例えば、時代にマッチした商品を何か開発して売り出していこうと思った時には、
・商品のアイディア出し(競合他社の情報・顧客からの意見なども重要)
・商品コンセプト(何を大切にした商品にするのか?ブレない柱をつくる)
・価格の決定(原価、お客様のメリットに対する対価という発想、自社の収益)
など、考えることはたくさんあり、世の中のニーズがあればもちろん他社も同じような商品を出してきます。正に一分一秒を争うスピード勝負です。
更に、無事に商品が出来上がったあともそれをどうやって市場に広めていくか?が大きな問題になります。どれだけ良いモノでも、世の中に知られていない商品は販売開始の第一歩が非常に困難です。まずは既存顧客に使ってもらうとか、誰かにお願いして試験的に導入してもらうなど、フィードバックがもらえる相手や仮に失敗しても取り返しがつく範囲でテストを繰り返していく必要があります。そこで十分に収益性がある商品だと判断して初めて本格的に販売を開始します。
こういった一連の流れを素早く実現するためには、日頃から社内をまとめ、ベクトルを合わせておく必要があります。
社内のベクトルを合わせるために大事なポイントは2つです。
①会社の方向性・社長の考えを日頃からきちんと示しておくこと
②それがシンプルかつ伝わる言葉で表されていること
です。
①会社の方向性・社長の考えを日頃からきちんと示しておくこと
自社が何を大切にし、どこに向かっているのか?という方向性。特に今、本業としている事業の業績が落ち込んでいたり先行きが不安な状況だったりすると、当然、社員も取引先も不安になるはずです。
今の事業をどう回復させるのか?テレワークやオンラインに対応した体制づくりが未だにできていない等これまでのやり方が通用しない場合はどう変化させていくのか?仮に新商品の開発や新規事業を検討する場合はいつから誰がどうやるのか?…といったことが社内に共有されている必要があります。
また、その向かう方向に対して社長がどれだけ可能性を感じているのか?どれくらいの情熱を持って推し進めようとしているのか?協力者はいるのか?などもそれらを支える大切な要素になります。
そして当然、社内の現状がしっかりと把握されていることももちろん大切です。
②それがシンプルかつ伝わる言葉で表されていること
最近はあらゆるコンテンツが音声や動画が中心になり、若者に限らずあらゆる年代で長文を読む人が少なくなったと言われています。ニュースや情報も動画で得ることができる時代、できるだけ短い文章・シンプルな言葉で表現することが大切になってきました。(…ちなみに、いつもお送りしているこのコラムは短くても2,000文字、長い時には3,000文字!これってどうなの?笑)
会社の歴史や社長のメッセージも、しっかりと伝えるためには工夫が必要です。文字の数は純粋にその歴史や想いの分量と比例することが多いのですが、入社間もない社員や新規顧客にとっては、わかりやすく短文で伝える方が断然効果があります。
会社案内やホームページに入れるシンプルなメッセージやキャッチコピーは、これまで一部の専門家がつくるもの、という風に考えられていましたが、これからは経営者も社員もどんどんつくって発信していく時代なのです。知り合いの社長は、1回140文字のTwitter投稿を上手に活用して会社のファンをどんどん増やしていますし、別の会社ではとてもシンプルな(刺さる)社長メッセージで採用に成功しています。言葉は短くしようと努力するほど磨かれ、研ぎ澄まされて、伝わりやすくなるものなのです。
これら2つのポイントをきちんとおさえて社内のベクトルを合わせておくことで、社内にいつでも走り出せる準備が整います。
時代変化のスピードが加速する今、チャンスの神様はすぐそこまでやって来ています。
あなたの会社はその前髪を確実につかむための準備は万全ですか?
スピード感を持ったスタートダッシュが切れそうですか?
社員にあなたの考えや会社の方向性は伝わっていますか?
もしも不安だと思われる方は今すぐ準備を始めましょう!
変革の時代だからこそ、チャンスは誰にでも手にできるのですから。
■会社の方向性・社長の考えをシンプルかつ伝わる言葉で表現することに
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■即戦力な人材の教育体制づくりにご興味のある方はこちらをご覧ください。
皆様が次の時代のチャンスを手に入れられるよう応援いたします!