「世の中の“モノ”の価値のほとんどは見えていないよね…」
先日、ある社長とそんな話をしました。今、目の前にある道具や食べ物・洋服など、どこの誰が、誰のために、なぜつくったのか?そんな事にまで思いを馳せて買い物をする機会なんて滅多に無いし、ましてや、つくり手がそれを伝えてくれる機会が無ければ、一生知ることも無いかもしれないね…と。丁度その時は、たまたま頂いた野菜があまりに美味しかったので、「相当、手間ひまかけて育ててくださったんだろうね」という会話をきっかけに「つくり手」の気持ちについて話しをしましたが、普段ならなかなかそうはいきません。
ついつい、目先の値段に対する品質やアフターフォローはどうなっているのか?それって値段に見合っているの?他と比べて割安感はあるの?なんて考えてしまいがちだからです。
しかし、私たちの生活を振り返った時、この「費用対効果」的な発想は本当に必要なのだろうか?とふと思うことがあります。もちろん、無駄に高いものを買う必要は無いし、企業経営において「利益を生み出す」「無駄な経費を省く」ことは大事なことですが、常に価格が最重要テーマであるかと聞かれれば甚だ疑問に感じます。そこに意識が集中し過ぎてしまうあまりに、相手の気持ちや想いを横に追いやって、自分だけの利益追求に偏ってしまいがちになるからです。商売は相手がいて初めて成り立つもの。自分と想いを共にする者が集まり、より良いものを生み出して、人の役に立って更に想いの輪が広がる…そうして事業は発展していくものだと思っています。
実は、今月の私のラジオ番組にゲスト出演してくださっているドクターリセラ株式会社の奥迫社長も、正に“想い”の宝庫のような方です。私と同じ島根県出身というご縁もあって、ゲストにお越しくださいましたが、化粧品の卸・販売で年商70億円、7つのグループ企業もあり、海外にも進出している超成長企業です。この奥迫社長は、小学生の頃に大好きなお祖父さんを亡くされたことをきっかけに、「人の命は儚い…たった一度の人生なんだから同じなら人の役に立つように生きよう」と思われたそうです。小学生の時に…です。
その後は、起業するまでも、起業してからも様々な試練があったそうですが、それでも、「人の役に立つように生きる」が常に自分の真ん中にあって、それに共感してくれる人の支えでここまで来ました、とおっしゃっていました。販売されている商品が素晴らしいのは、その根幹にこの強い想いがあるからなんだな~とつくづく感じました。このような出会いは、自らモノやサービスを生み出して世の中に提供する者として、とても大切ですが見落としがちなことに気づかされます。
そして、その想いを形にすること、それに共感してくれる仲間をつくること、それを常に進化させていくこと、これがとても大事だな、と改めて感じさせられました。
皆様も、長年同じ事業を続けていて、そこそこ売上が安定してくると、毎日やっていることがある意味当たり前になってしまって、改めて自分の会社のことを振り返ったり、自分の想いを伝えようと思う機会はあまりないかもしれませんが、社長が考えなければならないことは、自社が提供できる価値を高めたり、それがきちんと伝わるように工夫をしたりして、常に自社の営業ステージを上げていくことです。そのために社長は、いつでも自社について伝えることができなければなりません。いわゆる「価値の説明責任」です。同じものでも、売り方、伝え方が代わると、実は値段も何倍にも変化するからなのです。
ものづくりの会社に多い、「原価がいくら…」という発想ではなかなかステージを上げることは難しく、「何を提供するのか?」の逆算思考が大切になってきます。
一つ、コーヒーを例にとってご説明します。
一口にコーヒーと言ってもその種類は様々で、もちろん金額も違います。コーヒー一杯の金額は、種類というよりはむしろ提供(販売)される場所でも大きく違ってきます。例えば、喫茶店で飲むコーヒーは一杯300円~500円くらいなのに対し、高級ホテルに行くと一杯1,000円以上します。
なぜ、高級ホテルのコーヒーが高いのかというと、それを求める人と提供する側(需要と供給)のバランスが成立しているからです。ホテルの近くには人気のコーヒーチェーンや昔ながらの喫茶店がたくさんあり、1杯300円でも同等のコーヒーの味が楽しめるにもかかわらず、高級ホテルでは、1杯1,000円以上のコーヒーが売れています。
正直、原価は変わらないでしょうし、むしろコーヒー豆にはコーヒーチェーンのほうがこだわっているような気がします。純粋に美味しいコーヒーを飲みたければ、専門店の方がじっくり楽しむことができます。
それでは、人々は何を楽しむために1杯1,000円以上のコーヒーを飲むのでしょうか?
これは私が思うところですが、その特別な空間があることで、
・静かに心を落ち着けて、優雅な雰囲気を楽しむことができる
・ゆったりとした時間の中で会話を楽しむことができる
・普段よりワンランク上の話題を楽しむことができる
といったことを実現できるからではないでしょうか。
決して、コーヒー豆の原価や家賃が高いからだよな~と思って使っている人はいないでしょう。そこに、1,000円という値段以上の価値を感じることができているからに他なりません。単に美味しさ(深み、香ばしさなど)という基準だけでなく、そこで得られる貴重な体験・経験こそが”価値”ということではないかと思います。モノの値段は、あってないようなもの…お客様は原価率など数値では計り知れないところに価値を感じてくださるものなのです。そこにステージを上げていくことこそ、事業の成長であり、社員の成長にもつながるのです。この、一見まったく違ったステージにあげる時にこそ、「何のために」その製品やサービスを提供しているのか?という想いが大きく関わってきます。
自社が提供する製品やサービスの値段を、「原価」ではなく「想い」や「価値」で説明できるとしたら、それってすごく楽しいと思いませんか?それができれば営業マンも喜んでお客様のところに飛んで行くかも?なんて思うとワクワクしませんか?
経営者の皆様、ぜひ、その想いを言葉にすることから始めてみてください。
リセラの奥迫社長のお話もぜひお聴きくださいね。