応援コラム

第297話 「先が見えない時代…」を言い訳にするのはもうやめよう

 

「社長、あとは3年後・5年後・10年後の未来構想のページで完成ですね」

 

現在ストーリーブックを一緒に作成している会社の社長との会話です。会社の歴史や創業社長の想い、現在の取り組み、自社の強みや特徴、そして自慢の社員さん達の紹介などを載せて、あとは会社が目指す未来のページを残すのみとなりました。私は普段、このストーリーブックを社長や幹部と一緒に作成しながら、会社のブランディングと営業力を強化していくコンサルティングをさせていただいています。

 

ただ、たまにこの未来構想のページがなかなか描けない…という会社があります。「変化のスピードが速いから先が見えなくて…」とおっしゃる社長がいらっしゃるのです。今回のコラムは、この、「先の見えない時代…」について考えてみました。

 

 

■「先が見えない」と言われる今だからこそ

 

~まったく先が読めない時代…企業を取り巻く環境が不安定で不確実、かつ複雑で曖昧模糊な状況~という意味で、“VUCA時代”なんて呼ぶそうです。そう言われてみれば、この言葉を最近よく耳にしますね。

 

確かにこの近年話題になっている「ウーバー」や「ネットフリックス」など、新たなビジネスが誕生しましたが、これらは“VUCA時代”の代表格と言えるでしょう。最新テクノロジーを駆使して既存の市場に大きな衝撃を与えて、それによって、タクシーやレンタカー・レンタルビデオ業界は大きな影響を受けました。

 

一方で、様々な手続きのオンライン化やペーパレス化・脱はんこ体制など、コロナによって加速した変化は、元々私たちが抱えていた解決すべき課題であり、効率化のためには避けて通れないテーマでした。いつかは手をつけなければならない、と思っていた問題を先送りにしていただけで、それを後押しする良いきっかけになったと言えるでしょう。それと同じように、地域の高齢化や若者の減少によって、既存事業の新規開拓や新事業の立ち上げが思うように進まない…という問題なども、元々抱えていたものが業績悪化で顕在化しただけ、と言えるのではないでしょうか。もしかすると「先が見えないから」という思い込みが様々な改革を先送りにさせる言い訳の一つになっているのかもしれません。

 

 

■まずは事実を冷静に観察できる体質にする

 

先が見えないという思い込みを言い訳にしないためにも、まずはしっかりと事実を観察することから始める必要があります。不確実な物事(未来)に対する捉え方は人それぞれで、各々の性格や経験などによってもその捉え方が大きく違ってくるように思います。

 

たとえば、ここに半分水が入ったコップがあるとします。この時、「ああ、もう半分しかない」とネガティブに捉えて落ち込む人もいれば、「まだ半分もある」とポジティブに捉えて安心する人もいますが、事実を観察する時に大切なことは、単に「半分ある」という事実を受け止めることです。

 

一見、ポジティブに捉えたほうが良さそうに思えますが、「何とかなるだろう」と呑気に考えてしまって、「ああ、あの時に手を打っておけば良かった」と、後で後悔することにもつながりかねません。反対に、ネガティブに捉えた場合でもリスクに備えて前向きに手を打てれば良いのですが、「ああ、もうダメだ」と、何もできなくなってしまう恐れがあります。実際にはさまざまな解決方法があるのに、恐れを感じるあまり視野が狭くなり、とるべき行動が見えなくなるからです。なので、ネガティブにもポジティブにもならず、まずは冷静に状況を観察する必要があります。そして、「もしかしたら、こうかもしれない」と思いついたことは放っておかず、すぐに確認して行動することが重要です。

 

たとえば、営業の現場でもよくあることですが、お客様に大事なメールを送ったのに返事が来ない…そんな時は、「何らかの理由で怒らせたかもしれない。叱られるのが怖いから連絡できない」とネガティブになるのでも、「多分読んでくれていると思う。忙しいから返信できないのでは」とポジティブになるのでもなく、すぐに確認しましょう。もしかしたら、メールが届いていないかもしれないし、読んでいないかもしれません。あるいは本当に怒っているかもしれません。いずれにしても、気になったことは放っておかず、直ぐに行動する習慣をつけていくことが、問題を先送りにして大問題に発展させないための大切な第一歩なのです。

 

 

■複数のビジネスストーリーを描く

 

「先が読めない見えない時代になった…」と、多くの人がそれらしく発言しますが、そもそも過去に先が読めた時代などあったのでしょうか。いつの時代も、未来のことは誰にもわからなかったでしょうし、それを創ろうと考え動いてきた人達がやったことが「正解」だと思われただけなのではないでしょうか。

 

変化スピードが速く、それを想像することが難しいのであれば、複数のビジネスストーリーを描くというのも一つの手なのでは?と私は考えます。多くの中小企業は一つのビジネスストーリーで経営計画を立てることがほとんどですが、これだけ変化が激しい時代、また非連続の環境変化がすぐに訪れる時代なので、複数のビジネスストーリーを作って、それぞれに対してどう対処するかを検討しておくことが必要です。

 

そして、あらゆる変化の波の中にあって、強く永く事業を成長・発展させていくためにも、日頃から事実を冷静に観察し、問題を先送りせず、素早く行動して「会社の体力」をつけ、どんな時代が来ようとも力強く泳ぎきれる逞しい会社でありたいと私自身も思っています。

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