私の友人に、「MDRT」…世界中の保険営業マンのトップ5%…に何年も連続で選ばれ続けている人がいます。彼は、文字通り日本全国を飛び回る、しかも紹介だけで歩いている正真正銘のデキる営業マンです。仕事につながらなくてもどんな些細な相談にものるし、知人に頼まれれば自腹で全国どこでも出かけて行くし、しかも商品を売り込んだりしない…だからみんな安心して知り合いを紹介する、そんな理想的な仕事をしています。
私も現役の営業マン時代はこのような営業スタイルにあこがれて、こちらから営業しなくてもご紹介だけで歩けるような仕掛けを色々と考えたものです。流石にそれだけでは売上目標が達成できなかったため、結局、結構頑張って営業していましたが…(笑)ただ、この紹介につながるような営業を日頃から意識しているかどうかは、長く続けていると大きな差を生むことになるのであなどれません。自分の成績を追いかける営業マンも、会社全体の売上をつくり出す経営者も、考え方は同じです。
今回のコラムは、このデキる営業マンから学べることについて考えてみたいと思います。
■業績の良い営業マンがやっていること
私の友人をはじめとする“デキる営業マン”は何をしているのか?色々と細かな気遣いや工夫・努力は数えきれませんが、彼らに共通する(おそらく全てのデキる営業マンがやっている)ことを5つだけ挙げてみました。
まず一つ目は、
・「自分」を売っている
です。商品を売る前に自分自身を売ることをやっています。お客様の信頼に足る人間なのか?どのような価値観を持ち、何を大切にしているのか?…これをしっかりと理解してもらうことは少々時間がかかりますが、この信頼こそが後々の太くて長いお付き合いにつながることをみんな知っているからです。
そして二つ目は、
・顧客の話を聴く
です。ただ単純に話を聞いているのではなく、相手のことを深く知ろうという気持ちで聞いています。この人は何を望んでいるのだろう?今必要なものとは何なんだろう?どうすれば抱えている課題を解決したり希望を叶えたりできるだろうか?という気持ちで聞いています。そして大切なことは、自分がどう関わることがベストなのか?を考えること。中にはお付き合いすべき相手ではない…ということもあります。
三つ目は、
・良いことも悪いことも伝える
です。売れない営業マンに限って良いことばかりを伝えてきたり「何でもできます、何でもやります」というようなことを言ったりしますが、過去の失敗や自分に不足していること、苦手な分野などについて正直に伝えることで相手の信頼を得ることができるのです。
そして四つ目は、
・夢を語る
です。自分自身の個人的な夢もそうですが、今の仕事を通して叶えたい夢や達成したいことなどを語る…ということをしています。初めて会った人にも堂々と夢を語れるというのはなかなかハードルが高いですが、彼らは普段から普通にやっているようで、特別なことではなさそうです。
最後、五つ目は、
・何のためにこの仕事をしているのか?が明確である
です。自分の使命感や価値観としっかり向き合い、今の仕事に対してどう思っているのか?誰のために何をやりたいと思っているのか?などが腹落ちしている状態です。ただお金がもらえるから…という意識で仕事をする人とは決定的に違うところではないでしょうか。
■業績を伸ばすために会社は何をするべきか?
このように見てみると、業績を伸ばすために会社がやるべきことも同じであることがおわかりいただけると思います。
・会社の歴史や想い、こだわり
・顧客との関係性…どういう顧客とどうなりたいか?
・リアリティのある人間関係…お客様の声、期待すること
・事業展開構想…今後、この会社をどう成長させていきたいか?
・コミットメント…社員に対して、取引先に対して、社会に対しての約束事
・目的、存在意義…何のためにこの会社が存在しているのか?
などについてしっかりと伝えることが重要なのです。
特に最後の「目的・存在意義」は、一番重要だと考えますので、それを明確にする手法として弊社が普段ご指導している「3D分析法」をご紹介します。これを用いてぜひあなたの会社の存在意義を明確にしてみられることをおすすめします。
■自社の目的や存在意義をあぶり出す「3D分析法」
それでは、「3D分析法」について簡単にご紹介します。この手法は、単なる強みの洗い出しに終わらず、3つの“どうして”という視点によって洗い出した強みを「使命感」「価値観」「顧客ニーズ」にそれぞれ落とし込む弊社独自の手法です。
<1>「どうしてあなたはその商品(サービス)を売っているのか?」
会社で今一番の「売り」である商品に対して、どうしてそれを売っているのかを問う1つめのどうして。経営者はどうしても売上や利益の高い商品(サービス)を会社の売りと勘違いしがちですが、商品を販売する行為の根底にはそれぞれの使命感があることが望まれます。どうしてそれを売るのか?…その本当の意味を経営理念と照らし合わせ深く考えるだけの大きな価値があります。
<2>「どうしてあなたの会社から購入したのでしょうか?」
現在、あなたの会社と取引をしている顧客は、どうして購入してくれたのでしょうか。世間には多種多様な商品(サービス)が溢れ、海外とも気軽に取引できるこの時代に、なぜ御社から購入をしてくれたのか?そこには、顧客の隠れた価値観を理解するヒントが隠れているのです。2つめのどうして…ぜひ顧客の声に耳を傾けてみましょう。
<3>「どうして他社を選ばないのでしょうか?」
同業他社を見渡してみると、価格や品質、販売実績やアフターフォローなど自社よりも優れている会社は多くあります。そんな中でどうして顧客は他社を選ばないのか?どうしてあなたの会社なのか?そう自らに問いかけてみたことはありますか。3つめのどうしては、これこそ正に顧客ニーズを知る鍵なのです。
これら“3つのどうして”を分析し自社の強みに落とし込む…それが3D分析法です。強みが明確になってこそ、本当に自社の強みが活きる営業戦略を立てることが可能になり、その上で適正な利益が得られる価格設定を考えていくべきなのです。
価格には、その会社や社長の使命感や自信が表れます。間違った考え方をしてしまっているのであれば早急に正す必要があります。自分だけでは会社のことを客観的に見ることが難しいと思われた経営者の皆様、ぜひ弊社にご相談ください。