「会社に行くのがダルい」
あなたの会社の社員さん、こんなことを毎日つぶやきながら出社していませんか?
給料はちゃんと貰い、休日もちゃんと取っている。
その上、人間関係も良好。
なのに、口を開けば、「しんどい」「疲れた」ばかり。
実はこれ、社員さん個人の資質の問題ではありません。
社内全体の士気が下がっているせいなのです。
こうなると、どれだけ給料を上げても、福利厚生を充実させても
意味がないでしょう。
では、どうすれば良いのでしょうか?
下がった士気をぐいっと上げなければなりませんよね。
今回は、その方法を考えていきましょう。
■意味のない動作は、とてもつらい
アウシュビッツ強制収容所で行われた拷問の中に、以下のようなものが
あったのはご存じでしょうか?
「午前は穴掘り、午後は穴埋め」というものです。
文字通り、穴を掘らせ再び埋めさせるという、無意味な動作です。
これをさせられた収容者は、作業を続けていくうちに自分の存在価値が
分からなくなり、短期間で死亡したそうです。
人間は、自分の行動に意味を見出そうとする生き物です。
その意味の中から、自分の存在を確かめていきます。
これを奪われるのですから、生きる気力もなくなって当然です。
何もこれ、過去の話ではございません。
戦時下という特別な状況でなくとも、生じるのです。
今、あなたの会社でも起きているかも知れませんよ。
というのも、社員さんの口から吐いて出る「しんどい」「疲れた」という
言葉の数々。
これ、とても危険なんです。
もちろん、彼らは拷問を受けているわけではありません。
しかし、自分の行動に意味を見出せていないから、
精神的な疲労を感じているのです。
自分の仕事は何の役に立っているのか分からなくなり、
自分の存在価値を見失いかけている状態です。
これが続くと、社員さんの健康は害されますし、
経営も右肩下がりになっていくでしょう。
■「技は盗め」「空気を読め」が追い詰めていく
昔気質の経営者さんに多いのが、背中で語ろうという方です。
一見、渋くてカッコイイように思えますが、社員さんにとっては困りモノ。
だって、背中を見たって、何も書いてありませんから。
あるのは、ちょっとシワのついた作業着やスーツだけです。
仕方がないので、社員さんは一生懸命、経営者さんの行動から
意味を探ろうとします。
でも、これって非効率ではありませんか?
他にしなければならない仕事は沢山あります。
経営者さんのご機嫌うかがいをするぐらいなら、お得意先にうかがう方が、
会社全体の利益につながります。
それでも、社員さんは自分の仕事の意味を見出す為に、一生懸命、
何もない「空気」を読もうとします。
自分の存在価値を確かめたいからです。
ですが、正解は見つかりません。
そりゃそうです。
経営者が何も言わないのですから。
こうやって、社員さんたちはどんどん追い詰められ、疲れ果てていくのです。
そうしているうちに、無気力になり、仕事への士気も下がっていきます。
いかがですか?
背中で語って良いことなんてあるでしょうか?
ありませんよね。
あなたが会社を設立した時のことを思い出してください。
その時は、朝から晩までがむしゃらに働いても、疲労感はあまりなかった筈です。
それは、「この頑張りがいつかきっと実りになる」と信じていたからです。
その時の熱い思いを伝えられれば、今、疲労困憊の社員さんの士気も
確実に上がっていきます。
彼らの働きに「意味」を持たせてやるのです。
■思いは言葉にしなければ伝わらない
あなたは社員さんにご自身の行動を見て、そこから考えて欲しいと
願っているでしょう。
けれど、あなたは社員さんの行動を見て、社員さんの思いを読み取ることが
出来ていたでしょうか?
ここまで読み進めてこられたというのが、答えだと思います。
現在、経営者さんと社員さん、行動で意味を読み取って欲しいと願っても、
双方それが出来ていない状態です。
では、どうすれば良いのでしょうか?
言葉にするしかありません。
思いの言語化です。
会社の設立理念や目標を言葉にし、社員さんに伝える。
これしかありません。
日本人は空気を読むのが上手い民族ではあるものの、
全てが分かるわけではありません。
分かったら、それはエスパーです。
人間同士のコミュニケーションには、言葉が必要不可欠です。
言語を持っているからこそ、人間は他の動物以上に発展していったのです。
言葉を介し他者と交流し、知識や経験を積み上げていきました。
それは太古の昔から続いていることです。
その言葉を、もっと大事にしていきませんか?
■頑張り屋さんのあなたに
きっと、あなたの会社は素晴らしい会社です。
もっと良い商品、良いサービスを開発し、もっと世の中の役に立ちたいと
願っておられるからこそ、こうやって勉強しておられるのですから。
あなたはきっと、頑張り屋さんでもあると思います。
でも、もう一人で頑張らないでください。
これからは、一緒に考えていきましょう。
困った時に相談の出来る人間でいられるよう、努めて参る所存です。
最後まで読んでくださり、有難うございました。
あなたの一日が素晴らしいものでありますように。