「人間が生きていくのに欠かせない“衣・食・住”のうち、なかなか買い替えがきかないのが住宅なんですよね。しかも、食事や睡眠、家族との団欒時間を考えると人生のかなり長い時間を過ごすことになるワケですよ。だから住まいにはもっと気を使って欲しいと思っています。ウチがご提供している住宅は…」
先日ご訪問したある住宅メーカーの部長様とのお話はこのように始まりました。この会社では、デザインや材料は勿論ですが、一番こだわっているのは「空間」なのだそうです。
「空間?家族が一緒に過ごせるリビングの間取りとかですか?」
そうお聞きすると、
「いや、“風通し”です。風の流れ、と言いますか空気の流れですね。」とおっしゃいました。
これは、24時間の換気システムで湿気を防ぐとか、住宅の耐久性がどうのという理由ばかりではなく、自然の風の流れえを考えたり空気に触れたりすることで身体がリラックスする効果や、また家族の会話やコミュニケーションのための自然な導線を意識してデザインするという目的があるのだそうです。 確かに、最近は間仕切りの無い家やガラス張りのリビングなどが話題になっていますね。
「家のデザインはそれぞれの好みだと思いますが、ちなみに御社の社内の風通しはいかがですか?」
とお聞きすると、そのご様子からなかなかそうではない雰囲気でした。
弊社にご相談に来られる方の悩みの多くは、「売上」と「人」についてです。特に、強い営業部隊をつくるための人材をどう育成しようとか、売上を伸ばしていくためには社内にどんな仕組みをつくれば良いのかと悩む社長様にとって、まずは今の“見えない”営業スタイルを“見える”ようにしたいなあと言われる方が非常に多いと感じています。そして実際に訪問してみると、中期計画や今期売上目標、今月の新規開拓件数、受注率やアポイント率などの立派な数字がずらりと並んでいますが、ただの絵に描いた餅になっていたり、自分の責任の部分しか数値を見ていない、という会社がよくあります。
こんな会社には、ぜひ先ほどの“風通し住宅”に住まわれることをオススメしたいものですね。
どんなに立派な家を建て豪華な家具が並んでいても、自然の風も感じられない淀んだ空気の中で、互いの顔色や変化にも気づかないようであっては決して健康的な生活とは言えません。これは会社経営においても同じことです。
長く安定的な会社を経営するために、また、強い営業力で他社より頭ひとつ抜きん出るためには、健全で健康的な経営を心掛けなければなりません。「うちの会社に入社するとみんな活き活きしている」「朝出勤してくるとみんな笑顔になる」そんな空気が流れる会社にしたいと思いませんか?
この目標はどうやって達成するのか?あのお客様のニーズにはどう応えれば良いのか?その新規顧客には自社のどの部分をアピールすれば良いのか?…社内には見えない壁がたくさん立ちはだかっています。社員の多くはこの見えない壁と戦っています。決して敵はライバル他社ばかりではないのです。立派な組織や格好良い建前を並べる前にまずやるべきは、この見えない壁を払いのけることです。「風通しが良く、きれいな空気が流れている」この二つの条件が揃っていれば、たとえ掘っ立て小屋でも立派な健康的住宅といえるでしょう。
経営者の皆さま、御社の社内にはきれいに澄んだ空気が流れていますか?それとも三歩先も見えない淀んだ空間ですか?